網膜とは、眼の奥にある厚さ約0.1~0.4ミリの薄い膜です。ものを見るのに重要な部分で10層(内側の9割は神経網膜といい、外側の1層は網膜色素上皮細胞といいます)からなってます。
何らかの原因で神経網膜が網膜色素上皮細胞からはがれて、硝子体の中に浮き上がってしまうことがあります。これが網膜剥離です。網膜剥離は、裂孔原性網膜剥離と呼ばれる網膜に裂け目を伴うものが一般的です。
物を見るのに一番重要な部分が、網膜の中央にある黄斑部(おうはんぶ)です。黄斑部には、視力や色の識別に関係している細胞があり、ここに病変がおよぶと極端な視力低下を引き起こします。
1.裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせいもうまくはくり)
眼球の中の硝子体は、年齢と共に液化硝子体と呼ばれる水の部分ができて、眼球内で揺れ動くようになります(後部硝子体剥離)。
硝子体と網膜が強く癒着している部分があると、眼球の動きで網膜が引っ張られ、裂け目ができてしまいます。その裂け目から液化硝子体が網膜下に入り込むと、網膜ははがれてしまいます。これが裂孔原性網膜剥離です。また、ボールが目に当たるなど、強い力が目に加わって網膜が剥離してしまう外傷性網膜剥離も、裂孔原性網膜剥離のひとつです。
2.その他の網膜剥離(もうまくはくり)
尿病網膜症では、出血しやすい血管(新生血管)を含んだ膜が網膜の上にできます。この膜が収縮して網膜を引っ張ると、網膜が剥離してしまいます(牽引性網膜剥離)。
ぶどう膜に炎症があったり、眼内腫瘍などがあると、網膜血管や脈絡膜から血液中の水分が滲み出し、網膜下にたまって網膜が剥離することがあります(続発性網膜剥離)。
網膜剥離(もうまくはくり)には、飛蚊症、光視症、視野欠損、視力低下などの症状があります。
飛蚊症(ひぶんしょう)
虫が飛んでいるように見えたり、黒い点やゴミのような物が見える
光視症(こうししょう)
眼の中でピカピカ光が見えたり、稲妻のように光が走ったりします
視野欠損(しやけっそん)
見ている物の一部が見えない
視力低下
見たいものがはっきり見えない
眼底検査
最も重要な検査です。
点眼薬で瞳を広げ眼の中を詳しく検査します。
飛蚊症などの症状が出たら早めに検査を受けましょう。
※他にも、視力・眼圧・視野検査など基本検査も必要となります。
網膜剥離を治すには手術が必要となります。症状の進行状態によって手術は違ってきます。
初期であれば外来で行えますが、進行してしまうと入院が必要となってきますので、早期発見が重要となります。
レーザー光凝固術
網膜剥離の進行状況 | 手術の内容 |
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網膜に裂け目ができる | 裂け目の周囲をレーザー光でふさぐ(外来手術可能) |
網膜復位術
網膜剥離の進行状況 | 手術の内容 |
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液化した硝子体が裂け目に入り込み網膜がはがれる | 剥離した網膜を元の位置に戻す手術(入院が必要) |
硝子体手術
網膜剥離の進行状況 | 手術の内容 |
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網膜に裂け目ができた時に血管から硝子体に出血する | 出血によって濁った硝子体を取り除く(入院が必要) |
※当院では、レーザー光凝固術のみ対応可能です。
診察の結果入院が必要となった場合には宮崎大学医学部、県立病院等への紹介をいたします。